チットチャット・スポーツ塾の指導実績から産み出された発達障がい児を中心とした運動発達アプローチ「チットチャット・メソッド」、その概要を説明をしたいと思います。
スポーツの語源は「あそび」である。あそびは誰にも共通に与えられた自由な身体活動であり「権利」である。人にやらされるあそび、マニュアルのあるあそび、型にはまったあそび、強制的なあそびは、あそびとはいわない。
その延長線上にあるスポーツも同様である、自由で主体的な活動が保障されている「権利」である。そのまた延長線上のスポーツ指導法も自由で主体性がなければスポーツの指導とはいえないわけである。
しかし、日本のスポーツ、スポーツ指導に関する考え方は次のような傾向がある。やることが決められる、マニュアル通りにさせられる、型にはめられるなどから始められる。この指導法でもできる子どもらにとっては適切な指導法なのだろう。
しかし、障がいのある子どもにとってはこのスタイルで指導されるとほとんどチャンスがなくなる、型通りできない、マニュアル通りにいかない、おもしろくない、やらされるといった指導になってします。自然とスポーツ嫌い、運動嫌いな子どもが量産されるわけである。
スポーツはみんなのものである、できる人だけのスポーツはスポーツとはいわない、スポーツ指導法もできるひとだけのスポーツ指導は本質的にはスポーツ指導法とはいわない。
みんなのスポーツ指導法を実現させるためには、まずおもしろい、やれるかも、わくわくするを最初に体感できる指導からはじめないと自主的主体的な行動には結びつかない。みんなのスポーツ指導法に近づくためには型にはめたり、マニュアルどおりに進めるのではなく、その子にあった「自由」から導入するのがベターなはずである。
自由な動きや行動の中からおもしろい、できた、続けてみようという内発的なモチベーションに火をつけることからはじめると子どもは勝手にそのおもしろさに深みや味わいをつける探究をはじめるはずである。
「もっとうまくなりたい」「もっとおもしろいことはないかな」などと、そういう導入から進めてころあいあを見計らって、型やフォーム、マニュアルなどを提案すれば相乗的にその子が上達していくはずである。
つまり「みんなのスポーツ指導法」を実現させるためにはまずはおもしろいこと、わくわくすること、もう一度やってみたいと感じさせるポイントに早くつれていく、そして自主的主体的な行動が生まれたときに教科書的、マニュアル的な指導を提案していけば、たくさんの子どもたちを拾えるはずである。発達障がい児でもこの考え方は同様である。
見た目ではわかりにくいが発達障がい児はからだにたくさんの不具合をかかえている。たとえばからだのありかが不鮮明、ひとつのことに集中すると別のひとつのことができなくなる、手先の運動機能が未熟、発達とともに統合されるはずの原始反射が残っているなど、その不具合の結果、ことばやコミュニケーションに問題がおこったり、学習が困難になったり、対人関係に不具合がでたりすることが多い。
彼らのからだをみていると確かに脳機能障害、認知障害といわれる高次の脳の障害なのだろうが、もっと根幹の感覚や感情といったからだの機能のベースになる部分が未熟や未発達のために高次の部分の認知に悪影響を及ぼしているのではないかと見ている。
そのためチットチャットでは様々な感覚や感情を刺激、統合、発達させるためにあそび、運動、スポーツを通じた運動発達アプローチを採用している。そしてその土台となる親亀、小亀を整えてあげるだけでその子に見合った認知が育つと考えている。土台や根っこづくりがチットチャット・メソッドの基本である。
チットチャット・メソッドではひとりひとりの質、百人十色に合わせた指導を提供するのが基本である。人は一人一人違うので当たり前である。そして、そんな中でも多くの指導実績からその子のその子の「傾向」があることに気づき、その傾向を最初に入口とし、千差万別な「個」に合わせた指導法を提供するのがチットチャット・メソッドである。
いきなり千差万別に立ち向かうわけではなく、傾向をもとに、個に適した指導を順次考えていくわけである。
チットチャットのタイプ分けは縦軸に運動能力、横軸にコミュニケーション力をおいて区分けしてみた。
横軸のコミュニケーション力はことばでのコミュニケーションの優劣だけでなくことばがなくても指示、提案を理解しておりあいをつけてしっかりと行動に近づける能力と解釈した。そういった能力がチットチャットの目指す「自立、自律」にリンクするからである。
そしてこうしてわかれた4つのタイプはその特徴的な質を現すことになった。
まず運動能力もそこそこ高く、コミュニケーション能力の高いタイプA、このタイプの子は「自分のやれること、できることを決めている」ことが多く、その決めていること以外の提案や指示は「むりむり、いやいや」と拒絶することが多い。そのためできることは夢中になってやるが、できないと決めていることにはまったく手をつかないタイプの子が多い。
しかし、物事を分析する能力は高く、何かひとつのことにしっかりと自主的主体的に取り組ませると自問自答しながら課題に取り組む場合が多い。問いかけたり、見守ることが指導のカギとなる。
タイプBの子はコミュニケーション力はそこそこあるが、運動能力が未熟なタイプ。このタイプの子は不器用で、運動苦手と受け取られる場合が多く、その未熟さをキャラクターでごまかすタイプが多い。
運動自体もごまかし動作が多く、正確にきっちりと動作することが苦手である。しかし、このタイプの子は簡単で、正確な動きを少しづつ積みかさねるようなベビーステップな課題を提案すると自分のからだのありかや存在が明確になるのか、コツコツ集中して行動をおこすようになる。ベビーステップな課題が効果的となる。
タイプCの子は運動能力はそこそこ高いがコミュニケーションがとりにくいタイプ。このタイプの子は自分ルール、俺ルールが強く、なかなかこちらの指示、提案を最初からあつかってくれない。自分の決めたやりかたで決めたようにやろうとする。そこにはモラルや秩序がなかったりもする。また興味の中心がころころ変わり多動で衝動的な行動を頻繁におこすこともある。
このタイプの子にはまずその自分ルールにしっかりよりそい、尊重することからはじめる。そして十分に尊重し受け取る時間をつくると、こちらの提案をのみこんで行動をおこしてくれる時がくる。「あなたの自由も尊重するが、こちらの提案もうけとって」という対応が必要となる。交渉やかけひきが指導には必要となる。
タイプDの子はいわゆる重度の自閉症といわれる子が多い。独特の世界観とかたくななこだわりを持つ。変化に弱く、緊張や不安が常に存在するタイプである。このタイプの子には安心で安全な環境、安心な関係性を成立させることが必要となる。そのためわかりやすい指示や提案、ことばだけでなく皮膚接触から関係性を膨らます指導が効果的となる。スキンシップ、スキンタッチが指導を前進させるカギとなる。
4つのタイプの特徴は、
Aタイプ=Analyzer Type(分析タイプ)
Bタイプ=Babystep Type(コツコツタイプ)
Cタイプ=Character Type(個性派タイプ)
Dタイプ=Defense Type(こだわりタイプ)
と区分け指導にあたっている。
傾向にあわせた指導から入り、ひとりに合わせた個別対応型の指導を提供するのがチットチャット・メソッドの流れである。そしてあそび、運動、スポーツを通じて子どもの生きる力、将来自主、自律してしあわせな人生を歩んでくれることを意図した運動発達アプローチがチットチャット・メソッドでる。
スポーツの究極の目標、目的は「人づくり」である。それを実現させるのがチットチャット・メソッドとなる。
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